一般家庭で不用品回収があるように、店舗でも不用品を回収してほしい時があります。そして店舗移転、閉店のときは、一般の家庭より多くのゴミが発生しますね。中にはゴミとして出すこともできない不用品のおかげで、処分をする際にトラブルになってしまうことも少なからずあります。
本記事では一般家庭ではなく『店舗が不用品回収をしてほしいとき』の想いに寄り添った、注意点や、業者の選び方をまとめています。
店舗の不用品回収と一般家庭の不用品回収、違いは家庭ゴミで出せないこと
「産業廃棄物」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
店舗で出たごみは、多くの場合は「産業廃棄物」として処理されます。家庭ごみで出すことができないのです。そして、業者に依頼をせずに、家庭ごみで不用品を処分してしまうと、
「違法投棄」に該当してしまうため、罰金刑などの罰もあります。
そのため、店舗から出る不用品やごみは、確実に「粗大ごみ」として行政に申し出、廃棄をしなくてはなりません。
一方で、家庭ごみの場合はほとんどがそのまま市の指定場所へ置いておくだけでOKです。それだけでなく電化製品のごみ回収も、家庭からでた不用品は市に届け出をすることで、回収をしてもらえますが、店舗で出た電化製品は市の提供する回収サービスも利用ができないのです。
店舗で不用品の回収を受けるのであれば、廃品回収を業者に依頼をするか、メーカーに引き取り依頼をしましょう。
回収してもらうためにやっておく節約にもなるポイントは『人件費』
不用品を回収してもらう場合の、節約においては、一般家庭と考え方は変わらないと考えて良いでしょう。
不用品・廃品回収業者に依頼をした場合にかかる料金の内訳は、次の通りです。
- 作業量
- 人件費
- 車両費
- 処分費
これらの4点であることが大変多いとされています。この中でも、特に節約ができることは、「作業量」と「人件費」です。
なぜなら、人件費は不用品の仕分け、運び出し、重量物の運搬など困難な作業がある場合に人件費の相場が高値になってしまうためと言えるでしょう。
作業量の場合も、少なければ少ないほど作業時間も多くかからないため、料金を抑えることができるのです。
不用品、廃品回収を依頼する場合は次のことを確認しておくと良いでしょう。
- 不用品の仕分けができているのか
- 運び出しがほとんどできているのか
- 重量物の運搬がしやすい状態かどうか
ごみの種類別にガムテープでまとめたり、段ボール箱に入れることでの不用品の仕分けなどの事前準備をしておくことが大切です。
トラブルにならないために準備しておくことは
店舗で出た廃棄物を回収してもらうとき、マニフェストを管理しなくてはいけません。
マニフェストとは、1990年に環境省の指導によりできたものです。
産業廃棄物の処理業者に委託する場合に廃棄物を出した側(排出側)から処理業者へ、マニフェストを発行しておかないとなりません。
必ず準備しなくてもいいんでしょ?と仰る方もいますが、いいえ、必ず準備しなくてはいけないのです。
それも、1998年12月から、店舗から出る全ての産業廃棄物が対象で、マニフェストの使用が義務付けられているためです。
マニフェストにおいて、準備をしなくてはいけないものは事業によって変わります。
A票 |
排出事業者が控えとして持っている必要があります。 |
B1票 |
収集業者が1社の場合は控えとなりますが、収集、運搬業者が2社となる場合は、廃棄物が運搬されたことを排出事業者が確認するためのものとなります。 |
B2票 |
収集業者が1社の場合は、排出業者が、確認するものです。 |
C1票 |
中間処理と、最終処分業者の控えとなります。 |
C2票 |
収集・運搬業者が、運搬した廃棄物の処分を確認する票です。 |
D票 |
排出事業者が、委託先での処分の終了を確認する票です。 |
E票 |
全ての最終処分が終了したことを表す票です。 |
それぞれのマニフェストは、複写・写しの保管が必要であり、最低5年間は保管しておかなければなりません。
このマニフェストを保管しないで捨ててしまったり、発行しなかった場合に起こり得るトラブルは、
- マニフェストを捨ててしまったため、再発行もできず刑罰の対象になってしまった。→不正処分の可能性があるという判断をされる。
- マニフェストを発行しない運搬・処分業者で気付いたら適切な方法ではない処分になっていた
などが考えられますが、挙げたこと以外にも起きています。
トラブルを起こさないように、店舗として必要不可欠な信頼を下げないためにも、マニフェストは必ず活用して、確実な保管を実施しましょう。
マニフェストの目的は確認と記録
マニフェストを発行する目的は、大きく2つあります。
- 産業廃棄物が然るべき方法で処理されていたのかどうかを確認すること
- 産業廃棄物の処理の流れを控えること
以上の2点です。要するに、産業廃棄物を委託処理する排出側の責任の確保と、不法投棄を防止することを目的にした制度でもあるということです。
廃棄物を出した側に問われる主な責任は次の通りです。
- 処理責任
- 管理票の交付義務
- 委託した場合、最終処分までの注意義務
- 不適切に処理が行われた場合の措置命令
- 委託基準の遵守
捨てたら責任がなくなる!というわけでもなく、最終処分まで確認が必要であり、状況によっては注意する義務、然るべき方法で処理されなかった場合は処理業者を措置する必要があるということです。
そのため、マニフェストは常時確認ができるように手元に保管しておかなくてはいけません。保存期間は5年間です。
しかし、2019年頃からは電子マニフェストというのができたため、紙で保存をする必要がなくなりました。
電子マニフェストと紙マニフェストの運用比較はこちら。
機能 |
電子マニフェスト |
紙マニフェスト |
|
排出事業者 |
マニフェストの交付と登録 |
廃棄物を収集運搬、処分業者に引き渡した日から3日以内にマニフェスト情報処理センターへ登録。 |
廃棄物を収集運搬業者、または処分業者に引き渡しと同時にマニフェストを交付。 |
処理終了確認 |
情報処理センターより、メールの通知で確認。 |
全て照合をして確認。 |
|
マニフェストの保存 |
保存が不要。 |
それぞれ5年間保存 |
|
産業廃棄物管理票 交付などの状況報告 |
情報処理センターが報告をするため、排出事業者の報告は不要。 |
都道府県・政令市に自ら報告義務。 |
|
収集運搬業者 |
運搬終了の報告 |
処分の終了日から3日以内に必要事項の入力後に情報処理センターへ報告。 |
運搬終了日から10日以内に必要事項を記入した、B2票を排出業者に送付。 |
マニフェストの保存 |
保存が不要。 |
処分業者に送付されたC2票を5年間保存。 |
|
処分業者 |
処分終了の報告 |
処分の終了日から3日以内に必要事項を入力、情報処理センターへ報告報告。 |
処分の終了日から10日以内に、必要事項を記入したC2票を収集運搬業者、DとE票を排出事業者に送付。 |
マニフェストの保存 |
保存が不要。 |
C1票を5年間保存。 |
電子マニフェストを利用することで得られるメリットは次の通りです。
- データで情報処理センターに保存をされるため、各事業所内で保存する必要がないこと
- 各事業所での報告が紙だと10日以内だったのが、3日以内での報告でOK
- 紙だとかさばるものが、電子だからこそ必要事項の記入でOK
ほかにもメリットとして挙げられますが、多くの場合は以上の3点といえるでしょう。
これからマニフェストを発行する際は、電子での導入を検討すると事務作業削減の効果も期待できます。
優良の不用品回収業者の選び方はの産廃処理業者認定の有無
では、マニフェストを発行し、適切な方法で収集、処分などをしてくれる業者はどんな業者なのかを解説します。
優良不用品回収業者の選び方として、1つのポイントは、「産廃処理業者認定の有無」という点です。
産廃処理業者認定とは、環境省の定めた、廃棄物処理法14条の許可を受けた業者のことであり、認定を受けている場合は、以下の基準を満たしているため、優良不用品回収業者の選定に役立つでしょう。
- 遵法性にかかる基準
過去に、産廃処理業の許可の有効期間において、特定の不利益処分を受けていないこと
※特定の不利益処分とは、業務停止命令や、廃棄物処理施設にかかる改善命令、使用停止命令などの処分のことです。
- 事業の透明性にかかる基準
法人の基礎情報、取得した産廃処理業などの許可内容と廃棄物処理施設の能力や維持管理状況などの情報をサイトなどに公表、所定の頻度で更新をしていること
- 電子マニフェストにかかる基準
電子マニフェストの利用ができること
- 財務体質の健全性にかかる基準
直近3年以内の事業年度における自己資本比率が10%以上であること
各事業の年度における利益金額などの平均値が0を超えていること
産廃処理業などの実施に関連する税金、社会保険料、労働保険料について滞納していないこと
- 5年以上継続して、産廃処理業などの許可を受けていること
これらの基準を満たしている場合は、産業廃棄物処理業者認定として認められているため、優良の不用品回収業者、廃品回収業として判断をしてもOKです。
まとめ|トラブルにならないように安全に処理をすることが大切
店舗において廃品回収、不用品回収を行う場合は、家庭ごみで出さないことを徹底することと、店舗でのごみは産業廃棄物として出すことが義務されています。そのため、市への届け出を忘れないように行うことを忘れないようにしましょう。